前回の続きです。
曲はできたものの、これを楽譜にすることなど私にはできません。しかも、ドラムやベースなどを用いた演奏にする方法など見当もつきません。
またもや思案に暮れていたところ、ひょっこり卒業生が訪ねてきたのです。
新聞に穐吉敏子さんをお招きした演奏会のことが掲載され、「ありゃ、糸井先生、学校代わってこんなことしてるんや。顔見に行こか」と2人でやってきたのです。
もう大学も卒業して働いている女の子2人です。
それが何と1人はピアノの先生で、もう一人は美容院に勤務している子だったのです。
「あのさあ・・・」と困っていることを早速相談。
録音していた子どもたちの歌声を聴いてもらう。
「えーっ、穐吉敏子さんの演奏会なんてすごいと思って来てみたら、他にもそんなことやってるの?」
「まあ、そうなんだ。でも、この曲の伴奏どうにかならない?」
「うーん・・・。先生、音楽室を見せてくれる?」
「えっ?いいけど・・・」
と音楽室へ移動。
「このエレクトーンをしばらく借りることって、できますか?」
「大丈夫かなあ・・・。いや、何とかする!」
「このエレクトーンをうちに運んでください。しばらく時間をもらえたら伴奏を考えて、つけます。」
「えーっ、ともちゃん、大丈夫?」
「仕方ないやん、先生困ってるみたいだし・・・。それに面白そうやん」
「まあね、先生、私も何か手伝いたい!」
「えっ、本当。じゃあさ、髪の毛のセットの仕方とか、そういうの子どもたちに教えてくれる?」
「OK。じゃあ、時間を決めてくれたら、教えに来るよ。」
まあ、嘘のような話ですが、本当の話です。
それから、しばらくして、「できました」という連絡をもらって、聴いてみてびっくりしました。完璧なカラオケができていたのです。エレクトーン1台でこんなことができるんですね。当時は、何とフロッピーディスクに保存だったと思います。
このカラオケを聴かせたときの子ども達の嬉しそうな顔を今も覚えています。ここからは、歌グループ、ダンスグループ、ビデオグループ、衣装デザイングループ等に分かれて毎日、休み時間も放課後も、それはそれは熱心に準備を進めました。
衣装グループは、Tシャツのデザインを描き上げプリントして衣装を作り、教え子から髪の毛のセットの仕方などを教えてもらっていました。
ビデオグループは実際に撮影を繰り返し、プロモーションビデオを作ることになっていました。
歌とダンスのグループは毎日練習です。
プロのダンサーや(ダンスを披露してくれたダンサーが手弁当で駆けつけてくれました)金城学院大学の学生も名古屋から来てくれた記憶があります。
いやあ、ようやってたなあ。
で、結局、CDを作りました。
そのCD、地元のラジオ局でも流してくれて、それをみんで教室で聴きました。
自分たちの歌声がラジオから流れてきたのはちょっと感動でした。
実は、この曲はヤマハの何だか忘れましたが大会でも賞をいただき、東京で開催された授賞式に行った記憶もあります。
基本は同じです。「みんなで一つのものをつくる」ということです。
それで、いろんな人に来ていただいたりすることに予算を組む必要が生じ、いろんな助成団体のお世話になるようになりました。
ほんとにたくさんのところから助成いただきました。「パナソニック教育財団」や「ちゅうでん教育振興財団」には何度もお世話になりました。
企画を立てるときは、時代のニーズと自分のやりたいことを掛け合わせることを心がけました。
「パナソニック教育財団」には、資料が残っていました。こんな企画で助成をいただいたようです。
*パナソニック教育財団
教育資金 30万円(だったかなあ)・視聴覚機器(プロジェクターやPCだったかなあ)
2001年 第27回実践研究(宇治市立小倉小学校)
「空き教室を利用した福祉施設」のネットワーク構築
2002年 第28回実践研究(宇治市立小倉小学校)
視聴覚メディアを活用した学校間交流ネットワークの構築
〜伝統芸能の継承と発展をめざして〜
2004年 第30回実践研究(宇治市立平盛小学校)
未完成組曲プロジェクト 〜ネットでつなぐ日英小学生による遠隔共同作曲〜
2006年 第32回実践研究(宇治市立平盛小学校)
ダンスで理科 〜楽しく理科を体感できるウエブコンテンツの作成〜
みなさんも是非、挑戦してみてください。
この子どもたちとの曲作りの実践の後、ダンサーや音楽家、さらには劇団とのコラボなど、私の実践はさらに未知の分野に突入していくことになりました。
そのあたりのことはまた今度・・・。
今日はちょっと早く帰ってきたので、音楽を聴きながら書いています。今日は、これ。