朝、会場に向かう電車の中で音楽を聴きながら、ふと思った。
「そうか、そういうことか・・・」と。
思い出した映像は、今から20年以上前の土曜日の音楽室。
その日は、音楽家・野村誠さんにお越しいただいて音楽会を開催する日だった。
その日のためにチラシを全校児童に配り、親子での参加を呼び掛けた。
集まった親子は2組。4名だった・・・。
途中、学級の児童が参加して、少し数は増えたもののチラシを見てきてくれたのは4名。
その時、決意した。
「この学校で、音楽を広める。音楽会を毎年開催して、体育館いっぱいの人を集める」
その日から、準備を進め、
翌年からドリームコンサートと銘打ったコンサートを開催し、その学校を去る年には、体育館いっぱいの人を集め、思い描いていた音楽会を開催することができた。
もちろん、最後のコンサートに出演いただいたのは、野村誠さんだった。
佐藤先生には、「明日の教室にお越しいただくのは、これが最後になると思います」とお話していた。
けれど、今朝の電車内での妄想(笑)が手伝って、会場で開口一番私が口にしたのは「佐藤先生、2年後にもう一度登壇いただきたい」でした。
もう一度、セミナーのあり方から広報まで見直し、2年後に佐藤先生に登壇いただく時には、会場いっぱいの人を集め、お話をいただく。
今日の会は、私に初心を思い出させてくれました。
さて、佐藤先生の講演ですが、これはもう素晴らしいの一言でした。
私がぼんやり考えていた「社会科教育のこれまでとこれから」を鮮明なものにしていただけた。
佐藤先生が講演後、「糸井さんが終始難しい顔をして聴かれていたから、話がフィットしていないのかなと不安になっていた」とおっしゃっていたのですが、逆です(笑)。
フィットしすぎて、頭をフル回転させながら聴いていたので、そういう顔になった次第です。
佐藤先生が最後に提示されたドイツの教育学者の言葉を胸に刻みながら残り少ない教師人生を送ろうと強く思いました。
「進みつつある教師のみ、人を教える権利あり」
二日間にわたって、佐藤さんと話し、食べ、酒を酌み交わすという至福の時を過ごすことができました。感謝、感謝です。